AI (人工知能) 09-28-2026

デジサート、NVIDIA Open Agent Safety PlatformにAI Passportを提供

Brian Trzupek

私はこれまでのキャリアの大半を通じて、さまざまな企業で一つの問いに取り組んできました。「目に見えないものを、どうすれば信頼できるのか?」という問いです。長い間、その対象はサーバでした。やがてデバイス、そしてコードへと変わりました。昨年、その対象はエージェントになりました。目標を与えられると、自ら計画を立て、誰の許可も求めずに動き続けるソフトウェアです。誰がそのエージェントを停止できるのでしょうか。そして、どのエージェントを停止すべきか、どう判断すればよいのでしょうか。

2026年、自律型エージェントが新たな技術カテゴリとして登場し、急速に普及しました。エージェントが本来の動作範囲を逸脱する問題は、カンファレンスで議論される仮説から、実際のインシデント報告へと変わりました。そして、セキュリティ責任者との会話は、ほぼ例外なく同じ結論に行き着きます。プロンプトやモデルレベルの安全対策は、エージェントが何をしようとするかを制御するものです。しかし、それ自体がセキュリティ上の境界になるわけではありません。サーバに適切な動作をお願いするだけでデータセンターのセキュリティを確保することはありません。エージェントのセキュリティも同じ考え方で取り組むべきです。

ソフトウェアとシリコンで実現する確実なセキュリティ境界

だからこそ、本日NVIDIAがNVIDIA Open Agent Safety Platformを発表したことを歓迎しています。このプラットフォームは、エージェントのセキュリティ境界を本来あるべき場所、つまりインフラストラクチャに設けます。

その中核となるのが、自律型エージェント向けのオープンでセキュアな実行環境であるNVIDIA OpenShellです。エージェントは独自の推論能力やスキルを維持しながら、ファイル、ネットワーク、プロセス、認証情報、推論処理へのすべてのアクセスが、プラットフォームによって制御される境界を通過します。デフォルトでは、いかなるアクセスも許可されません。制御はエージェントのプロセス外で実行されるため、エージェントが侵害された場合でも、その制御を回避することはできません。また、アクセスの許可と拒否に関するすべての判断が記録されます。

さらに、その基盤となるNVIDIA DOCAを搭載したBlueField-4上のNVIDIA Sentryは、ホストに依存しないハードウェア分離型の制御機能を提供します。これにより、シリコンレベルでエージェントの動作を帯域外から監視し、セキュリティポリシーを適用できます。NVIDIA Veraは、エージェントが実行するCPU負荷の高い処理に必要なコンピューティング能力を提供します。

簡単に言えば、このプラットフォームはエージェントが許可された境界を突破することを防ぎます。これは重要な機能であり、これまで市場の多くのソリューションに欠けていた部分です。そしてデジサートは、組織の境界を越えて検証可能なエージェントのIDと、エージェントを停止するためのキルスイッチを提供します。

セキュリティチェックポイントとパスポート

DigiCert AI PassportとNVIDIA Open Agent Safetyがどのように連携するのか、私は次のように説明しています。

空港を想像してください。保安検査場では、何を通過させるかを判断します。液体や刃物など、禁止リストにあるものは持ち込めません。しかし、保安検査場はあなたが誰なのかを証明するものではありません。それを証明するのがパスポートです。パスポートが機能するのは、信頼できる機関が発行し、渡航先の国でもその真正性を検証できる仕組みが整っているからです。

エージェントにも、この両方が必要です。セキュリティ境界は「このエージェントには何ができるのか?」という問いに答えます。一方、トラストは別の3つの問いに答えます。「これはどのエージェントなのか?」「実際に何を実行しているのか?」「そして、その事実を社外の第三者に証明できるのか?」という問いです。第三者には、監査担当者、規制当局、あるいは自社のエージェントがこれから通信する相手企業のエージェントを管理するパートナなどが含まれます。

OpenShellはセキュリティチェックポイントを提供し、DigiCert AI Trust ManagerはAgent Passportを発行します。AI Passportは、すべてのエージェント、モデル、MCPサーバに、PKIを基盤とする暗号技術によるIDを付与します。これは、すでにインターネットを支えているトラスト基盤と同じものです。

さらに、もう一つ重要な側面があります。エージェントの隔離は、エージェントが外部へ逸脱することを防ぎます。一方、コンフィデンシャルコンピューティングは、外部からの侵入を防ぎます。信頼できる実行環境(TEE)では、ワークロードを実行中も暗号化された状態に保つため、ホスト、ハイパーバイザ、運用担当者であっても、その内容を読み取ったり変更したりすることはできません。さらに、アテステーションによって、その状態を第三者に証明できます。隔離されたエージェントをコンフィデンシャルコンピューティング環境内で実行すれば、エージェントは外部に逸脱できず、インフラストラクチャ側からも内部にアクセスできない環境が実現します。デジサートは、Google Cloudや業界各社のパートナとともに、このアテステーション技術に取り組んできました。NVIDIAもこの取り組みにおいて大きな影響力を持ち、NVIDIA Vera Rubinを通じてその実現を支援しています。

DigiCert AI Agent Passportは、インターネット規模で利用されている暗号技術の標準規格とプロトコルを活用し、OpenShellエージェントに検証可能なIDを提供します。これにより、ポリシーに基づいて自動的に実行でき、確実に適用されるキルスイッチも実現します。お客様が必要と判断した場合、理由を問わず、任意のエージェントを停止できます。

DigiCert AI Trust Managerに追加する機能

DigiCert AI Trust Managerは、OpenShellを皮切りに、NVIDIA Open Agent Safety Platformへの対応を開始しています。今回の取り組みは、主に次の4つの領域に重点を置いています。

  • ポリシー制御に活用できるID。 OpenShellのサンドボックス内で実行されるすべてのエージェントにAI Passportが付与されます。これにより、OpenShellのポリシーは、設定ファイルに記載された名前ではなく、検証済みのIDに基づいて制御を適用できます。
  • 実行前の信頼性検証。 エージェント、モデル、MCPサーバには署名とスキャンが実施され、AI部品表(AIBOM)が付与されます。これらはサンドボックスで起動される前に検証されます。
  • 監査に耐えられる証跡。 OpenShellは、すでにすべてのアクセス許可と拒否を記録しています。デジサートは、この記録に署名し、DigiCert AI Root of Trustに紐付けます。ワークロードがコンフィデンシャルコンピューティング環境で実行される場合は、アテステーション情報も付加します。これにより、当事者の説明をそのまま信用する立場にない第三者に対しても、信頼性を証明できるようになります。
  • 企業の境界を越えるトラスト。 エージェントが他社のエージェントと連携する機会は増え続けています。公開鍵基盤(PKI)は、すでにインターネット上で組織の境界を越えてIDを検証するための信頼できる仕組みを提供しています。今後は、同じ基盤を活用して、エージェント自身が何者であるかを証明できるようになります。パブリックトラストに基づくPKIは、WebサイトのID検証において、すでにこの課題を解決しています。エージェントについても、同じ方法で解決していきます。

これらの機能は、OpenShellの機能を置き換えるものではありません。OpenShellが適用するセキュリティ制御に、検証可能なIDと監査証跡を追加するものです。

今後の展望

OpenShellがオープンソースであることは、私にとって重要な意味を持ちます。ID検証やアテステーションは、同じ実行環境を利用するすべての関係者がその仕組みを検証できることで、さらに信頼性を高められる技術だからです。

エンジニアリングチーム全体で利用するコーディングエージェントであれ、データセンターの外に出せない規制対象のワークロードであれ、エージェントを本番環境に導入しているのであれば、ぜひ皆様のニーズをお聞かせください。現在、DigiCert AI Trust Managerをご利用のお客様からのフィードバックが、こうした取り組みの方向性を形作っています。さらに多くの皆様のご意見をお待ちしています。

AI Trust Managerのデモを申し込む (英語)

エージェントの能力は、今後も進化し続けるでしょう。その流れを私たちが止めることはできません。しかし、エージェントが何らかのアクションを実行するたびに、誰かがそのエージェントのIDと実行内容を証明できる仕組みを整えるかどうかは、私たち自身の選択にかかっています。

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