すべてのデバイスには物語があります。医療分野では、その物語は人間そのものです。糖尿病患者を支援する持続型血糖モニタ、精密手術を支援する手術ロボット、リアルタイムで患者と医療従事者に通知する心拍モニタ。どれも人々の生活に深く関わっています。
しかし、その裏にはもう1つの物語――コンプライアンスの物語があります。そして、欧州連合のサイバーレジリエンス法(CRA)によって、その物語が主役の座に躍り出ようとしています。
これまでコネクテッドデバイスの規制準拠は、製品発売直前の「最終段階」として扱われてきました。ドキュメントの準備、監査、認証取得は、多くの場合、設計・開発が完了した後に行われていました。
CRAはこの常識を覆します。コンプライアンスはもはや単発のイベントではなく、継続的な責任です。医療機器メーカーは、デバイスが安全に「生まれる」ことだけでなく、ライフサイクル全体を通じて安全でサポートされ続けることを証明しなければなりません。
それはつまり次のことを意味します。
これは単なる法令遵守ではなく、デバイスの物語のすべての章に「信頼」を組み込むことです。
CRAによって、リスクはこれまでになく高まっています。最大1,500万ユーロまたは全世界年間売上高の2.5%の罰金に加え、非準拠のデバイスはEU市場からの撤退を命じられる可能性があります。
しかし、より大きなリスクは「信頼の喪失」です。デバイスの安全性やサポートが不十分であると判明すれば、患者や医療従事者の信頼は一瞬で失われます。そして医療の世界では、一度失われた信頼を取り戻すのはほぼ不可能です。
したがってコンプライアンスは罰則を回避するためだけではありません。患者・医療従事者・規制当局が信じられる「安全・信頼・革新の物語」を実現するための要です。
CRAは、医療機器の設計・構築・サポート方法を根本的に変えます。
ホワイトペーパー「EU Cyber Resilience Act: What Manufacturers Need to Know」では、これらの要件を詳細に解説しています。要点は明確です――コンプライアンスはもはや静的な報告ではなく、常に進化する「物語」です。
CRAへの対応がイノベーションを妨げる必要はありません。DigiCert Device Trust ソリューションは、設計段階からコンプライアンスを組み込みます。
これらの機能を組み合わせることで、メーカーはCRA付属書Iの22項目中17項目をカバーし、準拠証明に大きなアドバンテージを得られます。
コンプライアンスは「負担」として捉えられがちですが、CRAはそれを「機会」に変えます。初期段階から準拠を証明できるデバイスは、市場投入が早く、アクセスを長期に維持し、規制当局や患者からの信頼を高めます。
設計段階からコンプライアンスを組み込むことで、開発チームは安心して革新を進められます。そして、準拠をデバイスの物語の一部として捉える企業は、それを差別化要素として活用できます。
要するに――コンプライアンスはライフサイクルの「終わりの章」ではなく、すべての信頼物語の「始まりの一文」です。
すべての医療機器メーカーが直面する課題は同じです。「チェックリスト型」から脱却し、ライフサイクル全体でコンプライアンスを実現することです。
朗報は、ゼロから始める必要はないということです。ホワイトペーパーEU Cyber Resilience Act: What Manufacturers Need to Knowでは、要件の整理とデジサートソリューションによる対応方法を紹介しています。