TLS証明書の失効においては、タイミングがすべてです。業界規定では、認証局(CA)が対応すべき期限が明確に定められており、その締め切りは最短で24時間の場合もあります。
短い対応期限には迅速な対応が求められます。このガイドでは、証明書失効のトリガーとタイムライン、そしてコンプライアンス維持とトラスト確保のために自動化が不可欠である理由を解説します。
特定の事象が発生すると、認証局(CA)はTLS証明書の失効および再発行を行う必要があります。トリガーのひとつは、もはや安全な通信を提供できない証明書が利用者保護のために失効すべき場合です。たとえば、Heartbleedのような業界全体に影響を与える脆弱性がその一例です。コンプライアンス上の問題も失効の要因となり、TLS証明書または認証局そのものに起因する場合があります。
失効事象が発生した場合、CAはTLS Baseline Requirementsのセクション4.9.1.1「Reasons for Revoking a Subscriber Certificate」で定められた業界ルールに従う必要があります。この要件では、証明書を失効させるべき状況と対応期限が定義されており、24時間以内に対応すべき場合もあれば、5日以内に対応が認められる場合もあります。CAは、単一証明書であっても大量失効であっても、これらの期限を遵守しなければなりません。
このような業界要件により、迅速な失効・再発行に対応できないシステムでは、公開トラストのTLSサーバ証明書を使用すべきではありません。
24時間以内の失効が必要な原因
TLS Baseline Requirementsでは、以下の状況において24時間以内の失効が必要とされています。
5日以内の失効が必要な原因
TLS Baseline Requirementsでは、5日以内に失効を行うべき別の要因も定められています。これには、証明書またはCAに関するコンプライアンス違反を含むさまざまなケースが該当します。
例として以下が挙げられます。
Mozilla Root Store Policyの最近の改訂により、CAは証明書失効のタイムラインやCAの義務について、加入者とより頻繁に情報共有することが求められています。
改訂されたMozillaポリシーでは、特に大量失効イベントに備えた事前計画および手順のテストを義務付け、得られた知見を継続的な改善プロセスに反映することを要求しています。これらの計画は毎年第三者監査を受ける必要があります。
また、CAはCommon CA Database(CCADB)が定めるガイドラインに従い、Bugzilla上でセキュリティインシデントを公開報告することが求められています。これにより、複数のルートストアプログラム間での連携が強化されます。
これらのガイドラインでは、CAが問題のある証明書に関する調査・対応の詳細なタイムライン、影響を受けた証明書の完全な一覧、および失効サイクルを報告することが求められています。これらの報告は、要件への準拠状況についてコミュニティの精査を受けます。
組織は、失効イベント発生時に効果的に対応できるよう、事前準備を行うことが可能です。すべての混乱を防ぐことはできませんが、要求されるタイムライン内で対応する現実的な体制を整えることができます。
こうした事前対策は長期的にも有益であり、日常的なTLS証明書ライフサイクル管理を容易にし、今後予定されている業界変更への準備にもなります。たとえば、TLS Baseline Requirementsに基づき、TLS証明書の最長有効期間は段階的に短縮される予定です。まず398日から200日へ、その後100日、最終的には47日にまで短縮されます。これらの変更により、組織はより頻繁かつ迅速に証明書を更新できる柔軟性を身につける必要があります。
組織が失効イベントへの備えを強化するための鍵は次の通りです。
システムが証明書の失効・再発行を迅速かつ中断なく処理できるようにすること。
証明書インベントリを定期的に確認し、保有数と利用場所を把握すること。
自動化された証明書ライフサイクルプロセスを導入し、迅速な対応と準備態勢を整えること。
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