Smart Home Solutions for the Matter IoT Standard

Matter IoT 規格向けの
スマートホーム
ソリューション

広がりを見せるスマートホームデバイスの世界

IoT ホームデバイスの世界は、急激な成長を見せています。実際、IDC によると、2021 年には 8 億 9500 万台を超えるスマートホームデバイスが出荷されており、Deloitte の予想では、平均的な米国の家庭には約 22 台の接続されたスマートデバイスが存在しています。

リスクの伴う利便性

ベビーモニターからサーモスタット、カメラ、スマートスピーカー、テレビ、電化製品に至るまで、スマート IoT デバイスはあらゆる場面で活躍しており、その便利さは疑う余地がありません。しかし、実施された調査によると、スマートホームデバイスは、その安全性について消費者の信頼を未だに得ていません。たとえば、2017 年の Thales レポートによると、調査対象者の 91% が、スマートホームデバイスはハッキングなどの脅威に対して脆弱であると考えていました。

よりスマートになる必要があるスマートホーム

セキュリティに関する懸念はさておき、スマートホーム市場の急激な拡大に伴ってスマートホームデバイスメーカーの数も増え続けており、異なるプラットフォームで稼働するデバイスの数が増加するにつれ、根強い消費者の不満も増すことになります。カメラは Alexa では機能するけれど、Apple HomeKit では機能せず、スマートスピーカーは HomeKit には対応しているけれど、Google Home には対応していないといったことが起きることになります。デバイスを設定して管理するのに、消費者は複数のプラットフォームと何十ものアドホックアプリを機能させることを余儀なくされています。テクノロジーの進歩は早く、アップデートを怠るとデバイスは使いものにならなくなります。後に残されるのは、古いデバイス、複雑な統合、信頼できない動作です。スマートホームデバイスを取り巻く環境は、多くの場合、スマートとは程遠い状態です。

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スマートホーム IoT で導入される Matter とは何か

Matter は、シームレスなスマートホーム接続(Bluetooth など)のための統一規格です。Matter は、Matter 対応デバイス間または Matter 対応デバイスとハブの間で、メーカーの違い、ユースケース、スマートホームフレームワークによらず通信することを可能にするユニバーサルプロトコルです。そして、この通信の安全性は、デバイスがインターネットやクラウドに接続できない場合でも確保されます。

Matter は新たなグローバル規格

Matter は、Amazon、Apple、Google、Samsung といったテクノロジー企業の世界的大手との協力のもと、Connectivity Standards Alliance(CSA)によって作成されました。Matter の目標は、ホームデバイスが抱える次の 2 つの問題を解決することにあります。

  • メーカーやコントローラの違いにかかわらず、簡単に接続できない
  • サイバー攻撃やセキュリティソフトウェアの問題(更新およびクラウド接続性の要件など)に対して脆弱である

CSA は Zigbee や Z-Wave を推進していた団体です。Zigbee または Z-Wave は、低電力消費で低コストのワイヤレス IoT ネットワークテクノロジーで以前に採用されていた接続規格です。これらのプロトコルは、業界の相互運用性に向けた動きを促進しましたが、真にシームレスなデバイス間、プラットフォーム間の通信を信頼性の高いセキュリティで実装する能力はスマートホームで未だに求められていました。

CSA とパートナーはその取り組みの当初から、Matter 準拠のデバイスに対応する新たなグローバル規格の策定を目指してきました。プロジェクト CHIP (Connected Home Over IP)に基づく Matter は IP ベースでオープンソースの IoT セキュリティ規格で、メーカーが、ユニバーサルに相互運用可能なセキュアで消費者向けのスマートホーム IoT を製造することを可能にします。

TUO Video Still

セキュア・バイ・デザイン(設計によるセキュリティ)

TUO 社では、セキュリティを障害と見なしていません。その形と機能は、見事なバランスで設計に組み込まれています。

UP NEXT

Matter が保証するもの

実績のあるテクノロジーで設計されている Matter により、メーカーは市場投入までの時間を短縮させながら、あらゆるコネクタと動作するクラス最高のデバイスを実現できます。メーカーと消費者の双方にとって、Matter は、より良い製品とより優れたユーザーエクスペリエンスをもたらす規格です。

Matter をスマートホームに導入することで、次の 4 つの方法で使いやすさと高信頼性がもたらされます。

セキュリティ

信頼されたルートで発行された公開鍵基盤(PKI)を使用して、堅牢な暗号化、ID、認証が実現します。

信頼性

Wi-Fi によるローカル接続によって、クラウドに通信できない場合も含めて、セキュリティと一貫性のある双方向性が実現します。

相互運用性

Matter 準拠のデバイスと、あらゆるメーカーのハブとの間でネイティブな通信と運用を実現できます。

シンプルさ

購入が容易、設定が容易、使い方も容易です。

Matter の推進者は?

CSA に加えて、Matter は、世界トップクラスのテクノロジー企業と何百ものパートナーとの何年もの協力を経て、慎重かつインテリジェントに作り上げられてきました。

Matter の策定をリードするのは CSA と 28 社の推進企業です。これには、次の企業が含まれます。


Matter - SOL


Matter は、268 社の参加企業によってサポートされています。これらの企業は、Matter 機能を実現するセキュリティ、ハードウェア、ソフトウェアの面で貢献しています。参加企業の中には、Arris、Belkin、Bosch、BT – British Telecommunications、DigiCert、GE – General Electric、Hisense、Intel、iRobot、Lennox、Logitech、Mastercard、三菱電機、パナソニック、Qualcomm、Roku、Siemens、T-Mobile、東芝、Verizon、Wyze などが含まれます。

CSA、推進企業、参加企業はともに、Matter 規格の確立にかかわっています。これにより、このプロトコルが世界中のどの業界においても、メーカーやコネクタプラットフォームを問わず機能するようになっています。

Matter の発表前、推進企業と参加企業に加わって、228 のメーカーとテクノロジー組織が導入企業として名を連ねることになりました。結果として、Matter 規格に準拠することに同意した企業と組織は 500 社に上りました。

現在、サプライチェーンのあらゆるセグメントから 3,000 社の企業と組織が集まっており、毎週その数は増加しています。

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Matter が必要な理由

消費者は、利便性と安心感を求めてスマートホームデバイスを熱心に採用してきました。全体として、IoT デバイスは比較的安価に製造できるため、メーカーと消費者双方にとってお得なものとなっています。

IoT デバイスモデルの問題となるのは、メーカーが、自分のロジックとコストメリットを考慮してデバイスを製造する、いわゆる独自システムを採用する傾向にあることです。これは、このプロセスまたは製品が企業や消費者が求めるあらゆる状況に対応できない場合や、時間の経過とともに無効になる場合でさえ踏襲されてきました。これは製造側の問題ではありません。より良いモデルを提供する規格がない場合に、業界や市場が陥る傾向を表しているに過ぎません。

所定の規格なしでは、製造された IoT スマートホームデバイスの多くが消費者の不満を招く特性を備えることになり、かつデバイスを脆弱な状態にさらしてしまいます。以下のような内容です。

  • デバイス ID の欠如(強固な ID では、設定と通信や現在のセキュリティステータスの確認のためにハブやネットワークへの認証が行われる)。
  • ユニークで独自の言語、ソフトウェア、ハードウェア。
  • ユニークで独自の設定プロセスを持つ、単用途の個別化されたアプリを使用する場合が多い(デバイスがハブとプラットフォームと互換性を持つ必要があるだけでなく、アプリも互換性を持つ必要がある。つまり、消費者は恒常的、あるいは頻繁に更新されるとは限らない独自アプリを複数所有することを余儀なくされる。そして、ホームデバイスの必要に応じてプラットフォームでアプリを動作させることを確保する複雑なプロセスを実行する必要がある)。
  • 選択したコネクタプラットフォームに基づいてデバイスを購入したり、所有するさまざまなデバイスに対応するために複数のプラットフォームを実行したりすることを消費者に余儀なくさせる相互運用性の障壁。
  • 小規模なメーカーとそのデバイスを購入する消費者が特に直面するサポート上の問題(デバイスソフトウェアの更新、アプリの更新、セキュリティ上の問題の修復、その他の懸念や最適化を含む)。

Matter により主要な製造上の問題点と
消費者が抱える問題点を解決

多くのメーカーが Matter を導入することによる潜在的なメリットを認める一方で、Matter への準拠を進めることで製造プロセスや販売可能性に関して新たな課題が生まれることを懸念している企業も存在します。しかしながら実際には、Matter は、メーカーが消費者にとってより優れた製品を製造し、販売可能性を拡大する一助になっています。

ユニバーサル規格の下で運用する Matter へ準拠することで、メーカーは次のような数々のメリットを享受できます。

設定の簡素化

どのようなメーカーであっても、Matter を実装することで、あらゆるエコシステムにおいて簡素化された設定と接続が実現します。わかりにくい独自設定プロセスは、標準化され簡単なコネクトアンドラン(接続してすぐ実行)方式の手順にとって代わられます。Matter は真のプラグアンドプレイ環境を保証します。これは、消費者の購入の動機付けになります。消費者は、こうしたデバイスを動作させるのに労力がいらないことを知っているからです。

相互運用性

ユニバーサル規格に準拠することで、メーカーはシームレスな相互運用性を備えた独自の製品を作り出せます。これらの製品はあらゆる Matter エコシステムに接続して実行できます。消費者はさまざまなタイプのデバイスを購入する必要がなくなります。たとえば、購入を考慮しているデバイスは Google Home で動作し、所有している残りのデバイスは Amazon Alexa で動作するといった事態を避けられます。

ブランドの視認性と評判の向上

Matter 準拠の認定を得たメーカーは、自社の製品、パッケージング、マーケティングで Matter ロゴを前面に押し出すことができます。これは消費者にとって、このデバイスが相互運用性、信頼性、シンプルさとセキュリティを保証するユニバーサルな規格に準拠している証しになります。このデバイスを購入する消費者は、このデバイスが強固なプライバシーとデータ保護を備えつつ、簡単に接続して実行できることを信頼できます。この信頼は、Matter に準拠するメーカーに対しても向けられることになります。

リソース割り当ての削減

ユニバーサル規格により、社内の専用システムやプロセスを作成して維持する必要がなくなることで、開発、製造、更新の作業が簡素化されます。統合された Matter プロトコルは、スマートホームの通信とセキュリティのバックボーンの役割を果たします。これにより、デバイスとハブ、プラットフォーム、ホームエコシステムとの接続を確保するために使用していたリソースが解放されます。

イノベーションの向上

グローバル規格の信頼性の確保と改善の責任は、この取り組みのメンバーにあるため、Matter を導入することでメーカーは基本的な互換性の問題から注意を解放することができます。これにより、開発チームと企業は、エンジニアリングとスマートホームデバイスの開発、改善により多くの時間とリソースを割くことができます。

信頼性とサポート

Matter プロトコルが広く導入されるにつれ、同プロトコルの下で日常的に業務を行う何百社(将来的には何千社)ものメーカーや組織が迅速に問題を特定して修復するようになります。解決策や改善策に関する情報は即座に広められ、この情報に基づいて各メーカーはデバイスの更新を迅速かつ簡単に行い、そのことを消費者に伝達するため、デバイスのサポート状況が改善します。

収益の増加

Matter により、メーカーはより優れた製品を製造できます。つまり、信頼性が高く、セキュアで使いやすい製品を、投資リソースと時間を抑えながら作り出せます。これにより、メーカーはより強力な製品をより迅速に市場に供給できます。そのうえ、自宅で使用するコネクタのエコシステムを気にする必要がない Matter 対応デバイスを消費者に提供することで市場の拡大を見込めます。これらはすべて、収益増加の機会につながります。

Matter への準拠とは?プロトコルの規格を満たしていくには?

ご使用のデバイスで Matter を有効化する前に、このプロトコルの基盤について理解する必要があります。Matter 規格には、セキュリティと認証という 2 つの構成要素があります。

セキュリティ

CSA が Matter の開発を始めた際に、CSA と Google、Apple、Amazon は、業界をリードするセキュリティ専門家を招いて、このプロトコルに信頼性の高い暗号化、ID、認証を組み込むように求めました。最善のオプションを調査したところ、Matter の推進化団体は、相互運用可能なスマートホームデバイスで必要とされるすべてのセキュリティ属性を提供できる唯一のセキュリティソリューションとして公開鍵基盤(PKI)を選定しました。

認証

セキュリティの確保に関する認証とは別ものですが、CSA は、デバイスが Matter 規格に完全に準拠していることを保証する認定プロセスを規定しています。プロトコルに準拠したデバイスは、Matter スマートホームデバイスとして販売される権利を得ることになります。このような区分付けの一環としてブランディングを行えます。ブランディングでは、製品と製品パッケージングにおいて Matter ロゴが表示されます。

PKI の柱

PKI は実績のあるテクノロジーで、長年ウェブの暗号化に使用されてきました。メーカーと消費者にとって、PKI は TLS/SSL ウェブ証明書としての使用が馴染み深いかもしれません。これは、インターネットの強固なセキュリティ基盤として何十年も機能してきました。

PKI 証明書はウェブセキュリティに加え、接続が可能なあらゆるものに適用でき、これには IoT デバイスも含まれます。これらの証明書は、デバイス上のセキュリティと転送中のセキュリティを確保する 3 つの重要な属性を有しています。

  1. 暗号化

    転送中のデータは暗号化されて保護されます。そのため、デバイスとエコシステム間でやり取りされるデータは読み取れません。

  2. データの完全性

    暗号化されたデータは変更できません。そのため、デバイスソフトウェアと通信は改ざんから保護されます。

  3. ID

    公開鍵基盤の暗号的に一意な鍵によって、デバイス固有の ID が付与されます。これにより、エコシステムはそのデバイスが公言しているとおりのものであること、そして接続して通信を行う権限のある承認されたエンドポイントであることを知ることができます。

DAC(Device Attestation Certificate:デバイス認証証明書)

Matter は、DAC と呼ばれる、ある特定の形式の PKI 証明書に依存しています。DAC は ID を付与する X.509 証明書で、ノード間およびデバイスとクラウド間の安全な通信を確保するために Matter 対応デバイスでデータの完全性と暗号化を実現します。

DAC は信頼されたルートで発行される必要があります。そうすることで、コネクテッドセキュリティの最高の基準に基づいてデータの完全性が確保されるようになります。

Matter デバイスにおける
トラスト階層

Matter 対応デバイスでは、セキュアな通信の階層に従ってトラストと相互運用性が実現されます。これは、ルートから始まり、PKI 証明書に基づいています。

DAC
PAI
ROOT

次に行うべきこと

Matter への準拠は、次の 2 つのステップから始まります。

DAC 発行システムの確立

DAC は、メーカーが確立したルート CA から発行できますが、証明書発行のために社内で信頼されたルートを構築して維持していくのは簡単ではありません。社内 PKI の構築には高い専門性が求められ、正しく確立したとしても、ルートの維持と証明書の管理には時間とリソースを要します。自家製の PKI には、「設定して忘れる」という選択肢がありません。

Matter への準拠をもたらす迅速かつ包括的なアプローチは、サードパーティの認証局を使う方法です。認証局は信頼されたルートをすでに保有していて、その多くは長らく確立されているものなので、PKI ソリューションとしての長年の経験のメリットを享受できます。

Matter を開発した団体のメンバーであるデジサートは、Matter に組み込まれるセキュリティ規格の確立において重要かつ基礎的な役割を果たしました。デジサートは、DAC 発行に関する信頼されたルートとして、CSA に認定された最初の認証局です。

Matter 認定への申請

CSA による認定を受けることで、相互運用性とセキュリティの要件を満たしていることを示すことができ、自社の製品を
正式な Matter デバイスとしてロゴ付きで販売できるようになります。

Matter 向けの
DigiCert® Device Trust Manager

PKI に関する何十年もの世界的リーダーとしての経験に基づいて、DigiCert® ONE の柔軟でスケーラブルなアーキテクチャに構築されている DigiCert Device Trust Manager は、Matter への準拠を迅速かつ簡単に実現します。

DigiCert Device Trust Manager は、既存のあらゆるエコシステムと製造プロセスに統合できるため、製造ラインを中断させることなく Matter 承認済み DAC を発行して管理できます。DigiCert Device Trust Manager を使用すると、半導体製造時から現場作業に至るまで、どの段階においても大量の証明書をほんの数秒で発行できます。

発行された証明書は、自動化されたプロセスで簡単に管理できます。自動化されたプロセスでは、無線(OTA)更新、スキャン、インデックス付け、更新、失効、再発行を実行できます。デジサートはこれらの証明書において Matter への準拠を実現しています。これらの証明書はすべて、世界的に信頼されているルート(ウェブ、電子メール、サーバー、ソフトウェア、あらゆる形態の IoT を保護している)で発行されています。

DigiCert Device Trust Manager は、スマートホームデバイスに Matter を導入するための簡単かつ強力なソリューションです。