量子コンピューティングは今年、転機を迎えようとしています。2020年に大幅に進展した量子コンピューティングは2021年には更に進化し、かつてないほど実用化に近づくと予想しています。しかし、耐量子コンピューティングへの対応には予想以上に時間がかかると考えられ、組織を守っていくには今からその準備を始めておく必要があります。

そこで、2020年の量子コンピューティング技術におけるいくつかの重要な進展をまとめ、2021年にどのようなことが期待できるのか、予測を行いました。

2020年における進展

2020年には様々な事が起こりました。多くの人がテレワークに移行を進める間も、量子関連技術の開発は進められました。ここでは2020年における量子関連技術の進化を時系列でまとめます。

3月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

2021年の予測

今年、実用的な大規模量子コンピュータの実現に向けさまざまな進展が見られたことを考えれば、こうした進展が2021年も続くことが容易に予測でき、それはほぼ間違いないでしょう。さらに、いつか、企業が、量子コンピュータを使用して従来のスーパーコンピュータでは解決できなかった実際的な問題の解決に成功したと発表することになるでしょう。

量子コンピュータにより従来のスーパーコンピュータで解決できなかった問題を解決することは、商用に利用可能な量子コンピュータの実現に向け、次の重要なマイルストーンです。しかしそのマイルストーン自体が、RSAやECCといった暗号手法をリスクにさらすわけではありません。暗号アルゴリズムの解読には大規模な量子コンピューターが必要であり、そうしたコンピューターは2021年には存在していないからです。しかし、現実的な問題を解決する能力を得ることで、より優れた量子コンピューターの開発へのさらなる投資を促進することになります。これはまさに、かつてコンピュータが年々、指数関数的に能力を高めていったのと同様、ムーアの法則に通じるフィードバックループの好循環です。

暗号の移行には時間がかかり、数十年かかることも珍しくありません。そのため、十分な規模の量子コンピュータが実現した時に備えておきたいと考えるなら、企業や組織は今からその準備を始めなければなりません。標準化団体やセキュリティの専門家は、そうした移行の土台づくりに懸命に取り組んでいます。米国標準技術研究所(NIST)は先日、「耐量子コンピューター暗号アルゴリズムへの移行における検討事項」に関するワークショップを開催しており、NISTは2021年後半には標準化に向けていくつかのアルゴリズムを選択する予定です。これによって、こうしたアルゴリズムの実装に向けた取り組みが一気に進むことが期待されます。

2020年中のあらゆる進歩は、量子コンピューターの実用化を大きく近づけるものであり、ITプロフェッショナルの71%は量子コンピューティングが近い将来に非常に大きな脅威になると考えています。もし、まだ準備を始めていないとすれば、2021年には遅れをとり始めることになるでしょう。

今すぐ準備を始めましょう

もし、まだ量子コンピューティングへの準備を始めていないのであれば、量子コンピューティングについての知識を深め、準備することを新しい年の抱負にしましょう。量子コンピューティングは、今後5年から10年で実用化される可能性が高いと考えられます。科学者たちはすでに数年前からそう言ってきましたが、今やそれがかつてないほど真実味を帯びてきました。

量子コンピューティングが主流になるまでには10年はかかる可能性があるものの、これは負けるわけにはいかない競争です。基本的にこれは組織とコンピュータとの競争であり、のんびりしている時間などありません。

デジサートでは組織が量子コンピュータへの備えに着手できるよう、業界のエキスパートと連携して、将来の耐量子コンピューター暗号の脅威に備えるためのPKIエコシステムを構築しています。さらに耐量子コンピューター暗号(PQC)ツールキットを開発し、量子コンピューターによるアルゴリズム解読に対抗するハイブリッドのPQC/RSA証明書を検証することができます。

DigiCertのPQCツールキットには以下が含まれます:

  • ハイブリッドRSA/PQC TLS証明書
  • 修正済みApache webサーバ/ISARA catalystサーバ
  • カスタムのFirefox ブラウザ

デジサートの2021年の予測および将来展望の詳細については、こちらの新年のセキュリティ予測ブログをご覧ください。

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