デジタルトラスト 06-16-2025

境界のない今の時代におけるデジタルトラストの確立

Abby Norwood
Trust Without Borders Blog Hero

ネットワークに境界がなかったらどうなるでしょうか? 

それは今日、多くの組織にとって現実です。従業員はどこからでも働き、クラウドプラットフォームが機密データを扱い、SaaS アプリケーションがビジネスのあらゆる層に関与しています。 

しかし、多くのセキュリティモデルはいまだに固定的な境界を前提としており、そこにリスクが生じています。デジタルトラストを構築するということは、セキュリティを「どのように、そしてどこで」強制するかを再考することを意味します。

なぜ境界はもはや防御にならないのか

かつてセキュリティとは、ネットワークの境界を防御することを意味していました。ファイアウォール、VPN、物理的アクセス制御で「外縁」を守るのが基本でした。しかしその境界はもはや存在しません。従業員はカフェからシステムにアクセスし、ビジネスアプリケーションはクラウド上にあり、機密データは複数の環境を行き来します。現代の企業は分散化しており、セキュリティモデルもそれに追随する必要があります。

境界の崩壊を促す主な要因は以下のとおりです:

  • BYOD とモバイル端末利用:従業員は個人のノートPC、スマートフォン、タブレットを用いて業務リソースにアクセスしており、それらは多くの場合、IT 部門の集中管理の外にあります。
  • SaaS 導入とハイブリッドワーク:主要な業務機能はクラウドベースのプラットフォーム上で稼働し、チームはタイムゾーンやネットワークをまたいで協働しています。
  • クラウドインフラによるデータセンターの置換:従来のデータセンターはクラウド環境に取って代わられつつあり、インフラは仮想化・弾力化され、サードパーティによって管理されることも増えています。

これらの傾向により、信頼を構築すべき場所は「境界」ではなく、「あらゆる接続が発生する場所」へと移行しています。

デジタルトラストとは?

デジタルトラストとは、ユーザー、パートナー、顧客が「組織がデータ、システム、そしてやり取りを一貫性を持って安全に保護できる」と信頼することです。それは強固なアイデンティティ、暗号化、アクセス制御に基づいていますが、それらの制御が現代の環境全体でどの程度適切に実装されているかにも依存します。 

クラウドファーストで境界が存在しない現代では、デジタルトラストは OS、クラウドプラットフォーム、SaaS ツール、IoT デバイスまで広がる必要があります。信頼は単にセキュリティの強さだけでなく、その一貫性、透明性、使いやすさに依存します。データを守れてもユーザーの利便性を損なうような仕組みでは信頼は揺らぎます。本当のデジタルトラストは、強靭でユーザーフレンドリーであり、進化するデジタル環境に合わせて拡張できるように設計されているのです。

境界の無い時代のトラスト構築

デジタル環境を保護するには、単なるツール以上のものが必要です。それは発想の転換です。境界が消滅する中で、組織はインフラの構造そのものにトラストを組み込む必要があります。つまり、認証、暗号化、可視性を後付けではなく、最初から組み込むことです。また、手作業のプロセスや断片化された制御を超えて、進化する脅威に適応する統合的かつ自動化されたアプローチへ移行することも意味します。 

以下に、先進的な組織が実践している4つの方法を示します。 

1. アイデンティティとアクセスを中心に据える

ゼロトラストモデルは、どの接続も本質的に安全であるとは想定せず、すべてのユーザー、デバイス、システムが認証され継続的に検証されることを前提とします。証明書ベースの認証や多要素アクセス制御を導入することで、どこから接続しても許可されたアイデンティティのみがアクセスできるようにします。 

2. 基盤レイヤーとしての PKI

公開鍵基盤(PKI)は、アイデンティティの確立と機密データの暗号化に不可欠です。境界の無い世界では、PKI はデータセンタでもクラウドでも、デバイス、アプリケーション、ユーザー全体にわたってトラストを拡張します。これは分散環境における安全な通信の基盤です。 

3. ライフサイクル全体にわたる自動化

証明書や構成を手作業で管理することは非効率であるだけでなく、リスクも伴います。自動化により、ポリシーを一貫して適用し、人為的ミスを排除し、更新、失効、侵害への対応を迅速化できます。また、チームは戦略的なセキュリティ改善に集中できるようになります。 

4. 暗号アジリティによる強靭性

量子コンピュータの到来を見据え、先進的な組織はすでに耐量子コンピュータ暗号(PQC)への移行準備を始めています。暗号アジリティに優れたインフラにより、新しいアルゴリズムを業務を妨げずに迅速かつ大規模に導入できます。

経営層が知るべきこと

経営層にとって、デジタルトラストは単なる技術的課題ではなく、戦略的な推進要因です。トラストが基幹業務システムに組み込まれていれば、組織はより迅速に動き、新しい技術を自信を持って採用し、ますますつながる世界でブランドの評判を守ることができます。

最近の調査では、世界中の組織に対して、トラストをセキュリティおよび運用計画の一部としてどのように考えているかを尋ねました。結果は明らかでした。デジタルトラストを重視する企業は、セキュリティインシデントが少なく、顧客の忠誠度が高く、新しいクラウドサービスや新興技術の導入においてより高い柔軟性を報告しています。

トラストは成長を可能にします。それがなければ、コンプライアンスの負担は増し、時間とともに顧客の信頼は失われていきます。

デジタルトラスト構築へのロードマップ

次のステップは以下のとおりです:

  • 現在のトラストレベルを評価:システム全体でどのレベルのトラストが存在しているのかを把握します。
  • 依存関係を把握:基幹業務システム、OS、SaaS プラットフォームのうち、より統合が必要なものを特定します。
  • パートナーを評価:暗号アジリティ、PKI 統合、グローバルスケーラビリティを提供するデジサートのようなベンダーと協力します。

アプローチを近代化したいとお考えですか?デジサートは、スケーラブルで将来に備えた、境界の無い時代のニーズに対応するデジタルトラストフレームワークの導入を支援します。お問い合わせいただき、インフラのあらゆるレイヤーにトラストを組み込む第一歩を踏み出してください。

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