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モノのインターネット (IoT) 02-26-2025

IoT と持続可能な環境の未来

Akshay Sharma
IoT Sustainability Blog

テクノロジーの専門家として、私はデジタル世界にしっかりと根を下ろして日々の業務をこなしています。しかし、生まれ育ったのはヒマラヤ山脈のふもと、森林地帯に囲まれたシムラーという町です。そびえ立つマツやヒマラヤスギといった木々のなか、澄み切った山の空気を吸いながら育ったことが、私に深い影響を残しました。子供の頃から自然に対する深い畏敬の念を抱いてきたことで、今ではテクノロジーを活用して自然を守りたいと強く願うようになっています。

モノのインターネット(IoT)は、森林という手つかずの自然美と、一見して無関係のように思えるかもしれません。ところが、IoT は環境を理解して保全していくうえで特に強力な手法のひとつであることが証明されており、その驚くべき関係を示す例が、世界中の繊細な生態系のなかで次々と明らかになりつつあります。

環境モニタリングにおける IoT センサーの威力

ヒマラヤでは、IoT センサーが早くも保護活動の形を変え始めています。温度や湿度から大気質や土壌の水分含有量まで、あらゆる環境データをリアルタイムで収集できるセンサーデバイスの力で、科学者や自然保護活動家は自然の生態系について、かつてないほどの知見を得られるようになりました。

たとえば、森林火災早期警報システムは、性能が大幅に向上しています。温度や湿度を継続的に監視することで、ワイヤレス接続されたデジタルセンサーが、火災リスクの上昇を示すわずかな変化も検知できるため、当局は災害が発生するより早く対策を講じられるようになりました。大気質や水質もセンサーで追跡できるので、地域社会に汚染レベルを警告し、気候変動の影響を緩和する一助になっています。

こうしたきめ細かなデータは、今何が起こっているかを教えてくれるだけではありません。長期にわたる傾向やパターンも識別できるので、事後対応的な保護から予防的な措置への移行が可能になります。

予測分析: 保護の新たな段階

データそれ自体も強力なものですが、そこに秘められた真の可能性が発揮されるのは予測分析を用いるときです。長年にわたって蓄積された環境データを自由自在に利用できれば、人工知能(AI)と機械学習アルゴリズムが、人間の目では見逃されやすいパターンを見抜くことができます。

一例として、森林の健康状態の季節による変化、野生動物の移動パターンの変化、土壌の水分含有量に基づいた干ばつの可能性などを予測するシステムを考えてみてください。こうしたテクノロジーを駆使して過去のデータを分析すれば、自然保護活動家は危機が起こってから緊急対応するのではなく、事前に備えることができます。

たとえば、特定の地域で気温、湿度、大気中の気体成分などの傾向が特定の組み合わせになった場合に山火事が増加するという過去のデータがあるとします。予測分析を利用して、当局は山火事が発生する前に、計画的な野焼きや灌漑の調整といった予防措置を実施できるので、植物相と動物相から、それに依存する地域社会に至るまでの生態系全体を守ることができます。

土着の知識と IoT のイノベーションとの融合

テクノロジーだけで答えになるわけではありません。その真価は、各地域の知識や専門知識と統合されて初めて引き出されます。現地のコミュニティは、何世代にもわたって森で暮らし、森を守りながら、自然のパターンやふるまいについて理解を深めてきました。そうしたコミュニティの知恵を通じてデータ主導のアプローチを強化できるように、IoT ソリューションは地域のコミュニティとの協力を前提に設計すべきです。

たとえば、隔絶されたヒマラヤの村に生きる地元の住民は、環境上のわずかな兆候を見て天候の変化を予測しています。鳥の渡りや植物の開花サイクルの変化などが手がかりになるのです。こうした観察結果を IoT データと組み合わせれば、予測モデルが強化され、今まで以上に豊かで信頼性の高い予測システムを構築できる可能性があります。

自動化も、保全活動を新たな形で拡大する可能性を秘めています。IoT 対応のドローンで森林をパトロールして違法な伐採や密猟を監視でき、スマート灌漑システムによって野生生物保護区での水の配分を最適化できます。森林再生の取り組みにも、自動化の恩恵は生きてきます。IoT に接続するドローンを使えば、環境データに基づいて正確な場所に植樹できるからです。

オープンソースでデータを共有する事例

持続可能な環境をめぐる IoT で特に有望な側面のひとつは、グローバルな協力態勢という可能性です。森林から集められる IoT センサーデータを共有するオープンソースのプラットフォームを構築することで、環境問題に取り組む科学者、政策立案者、市民科学者のネットワークを育成できます。

アマゾンの熱帯雨林、カナダの北方森林、ヒマラヤの生態系などさまざまな環境に関するデータがすべてリアルタイムで共有される国際的な取り組みを想像してみましょう。国境を越えたこのような協力態勢があれば、森林破壊の緩和、生物多様性の回復、気候変動への対策などを世界規模で支え、保護活動が加速する可能性があります。

人類の進歩と自然の世界とが調和する未来の実現

ヒマラヤ山脈に育ったことで、私は自然界の絶妙なバランスに対する考え方を身につけました。現在、テクノロジーはそのバランスを保つ道筋を示しています。単にひとつの山だけではなく、この惑星全体にわたるバランスです。課題は目前に迫っており、解決策は手の届くところにあります。

技術イノベーター、環境保護団体、政策立案者といった皆さまには、IoT 主導のソリューションが森林破壊への対策、自然災害の予測、貴重な生態系の保全などをどう支えられるか、そのさまざまな可能性を探求するようお願いしています。接続性、データ、人工知能の力を活用できれば、テクノロジーと自然が対立するのではなく手を取り合う未来を創り出すことができるのです。

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