Device trust 12-08-2023

持続可能でセキュアな
EV 充電を実現する鍵

Tim McAllister
EV Root Testing Blog Hero Image

電気自動車(EV)の自動車メーカーと聞いて消費者がまず思い浮かべるのは、テスラやリヴィアンなどのブランドです。

しかし、マツダやマセラティなどの一般自動車メーカーも EV 車をラインナップに加えるようになっており、パッカーは、商用車の電気化に向けて大きく前進しています。

EV オプションが増えると、より多くの人が EV 車を運転することになり、より多くの人が車とトラックの充電に公共の充電ステーションを利用することになります。電気自動車で長距離運転を経験された方ならばご存知のとおり、公共の充電ステーションは多くの場合数が少なく、それぞれが離れています。

この状況は変わりつつあります。しかし、これには、EV 充電インフラに可用性、相互運用性、信頼性をもたらすために、自動車メーカー、EV 充電器製造業者、セキュリティ会社が連携する必要があります。

公共の充電ステーションの可用性を向上

EV の普及を妨げる最初の障害は、公共の充電ステーションの少なさです。しかも、それらは長距離ドライバーがどうしても必要とする場所である道路沿いではなく、ショッピングセンターや他の営業店舗の駐車場にあります。充電中に買い物をすることに重点が置かれているためです。 

これは、National Electric Vehicle Infrastructure (NEVI) Formula Program などのイニシアチブが解決しようとしている問題です。米国連邦道路局の管轄にある NEVI は、信頼性の高い高速充電器の製造と、米国の国道沿いへの充電器設置に向けて 50 億ドルを投入します。

オハイオ州は、2023 年 10 月に NEVI の資金供給を受けた最初の EV 充電ステーションを設置して先陣を切りました。一方、その他の 25 州も、約 8 万マイルに及ぶ代替燃料回廊の道路沿いに独自の充電ステーションを構築していく予定です。

公共の EV 充電器の間で相互運用性を促進

テスラスーパーチャージャーは、優れた高速充電のステーションです。しかし最近まで、テスラ以外の EV ドライバーは利用できませんでした。大手自動車メーカー 7 社は、米国内において 3 万基の充電ステーションを追加することを計画していますが、大きな変革の肝となるのは充電器の数ではなく、その相互運用性です。

テスラスーパーチャージャーの中には、マジックドック CCS アダプタを提供するものもあります。これにより、コンバインド充電システム(CCS)プラグを搭載した電気自動車ならば、マジックドック付きのテスラ充電ステーションで充電することができます。

しかし、体験したユーザーからの評判は必ずしも良くありません。テスラ以外の EV 所有者がテスラスーパーチャージャーを使用するには、まずテスラのアプリをダウンロードしてから、プロファイルを作成して支払い方法を追加する必要があります。ドライバーはアプリを使用することで、アダプタが装備されたスーパーチャージャーを見つけることができますが、テスラ以外の自動車所有者は、スーパーチャージャーでの充電が DC 高速充電器を使うよりも遅く感じることがよくあります。さらに、テスラスーパーチャージャーのコードは短く、充電ポートの配置に関しても EV 全体で標準化することが望まれます。

今日市場に存在する非テスラ EV のほとんどは、スーパーチャージャーとの互換性がない CCS プラグを採用していますが、複数の自動車メーカーは今後 EV モデルにテスラ社の北米充電規格(NACS)ポートを搭載していく予定です。全メーカーに NACS ポートが普及するにつれ、相互運用性は例外ではなく標準になります。これにより、ユーザー体験は向上し、EV の普及への大きな障壁の 1 つが取り除かれます。

デジタルトラストで公共の充電ステーションのセキュリティを確保

EV 充電器の可用性と相互運用性が向上することで、EV エコシステムのありさまが変わります。しかし、これらよりも目立たないものの重要な要素があります。それは、デジタルトラストです。

EV を支えるスマートテクノロジーはチェーンのようです。そのつながりの中で最も弱い部分の強さがそのテクノロジーの強さになります。EV インフラに信頼性を組み込むとは、エネルギー供給のセキュリティ保護、支払いの完全性の確保、エンドツーエンドのソフトウェアの保護、および自動車 ID の認証を行うことです。 

EV 充電のセキュリティを確保するうえで最も重要なテクノロジーの 1 つは、公開鍵インフラ(PKI)です。これはドライバーのコントラクト証明書の正当性を保証し、EV と充電器の間にセキュアな接続を確立します。この双方向の認証プロセスは、EV にプラグインする際に自動的に発生します。

エンジニアと専門家からなる団体である SAE International は、北米での EV 充電インフラを強化することを目的として、サイバーセキュアな充電用の PKI を開発してきました。 2023 年 11 月に、デジサートが EV 業界における最初の公共の「信頼の基点」を確立したことにより、EV メーカーと OEM は ISO 15118-2 証明書を発行、テスト、実装できるようになりました。こうして、世界的な自動車メーカーとプラグアンドチャージインフラとの間で信頼できる接続が確保されるようになります。

フォードや EVgo などの業界大手メーカーは、この新しい信頼の基点を最初に試した企業で、セキュリティギャップなしのシームレスな充電への道を開くものと期待されます。北米で設定された規格は、世界の他の地域にも影響を与えることが見込まれ、全世界の EV エコシステムに可用性、相互運用性、信頼性がもたらされます。乗り物の持続可能性の取り組みが進むことにより、ようやくその実現が現実味を帯びてきました。

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