暗号化の俊敏性 04-25-2025

DigiCert と HashiCorp の統合で PKI 管理を簡素化

James Jackson
Unlocking Crypto-agility Hashi Corp Blog

現代の企業インフラ全体における電子証明書の管理暗号化は、これまで以上に重要に、そして複雑になりつつあります。組織が拡大するにつれて、証明書の無秩序な増加、有効期限に伴うリスク、所有権の分散といった課題が生じ、そのすべてがセキュリティ上の脆弱性や業務の中断につながる可能性があるからです。

DigiCert Trust Lifecycle Manager は、HashiCorp の Vault Enterprise Secrets Engine との統合を通じて、公開鍵基盤(PKI)管理を合理化し、暗号化の俊敏性を強化して、証明書の不適切な管理に伴うリスクを緩和します。このような統合によって、IT チームと DevOps チームは、コンプライアンスと運用効率を維持しながら、証明書ライフサイクル管理を安全に自動化・一元化することができます。

統合型のアプローチの必要性

これまで、PKI とシークレットの管理は別々に行われてきたため、非効率性とセキュリティのギャップが生じやすい傾向がありました。自動化が整っていなければ、組織は次のような課題に直面します。

  • 手動で証明書を発行し更新するため、証明書の有効期限切れや非準拠のリスクが増加する。
  • DevOps ワークフローが断片化し、導入プロセスにボトルネックが発生する。
  • シークレットと証明書が分散するため、セキュリティリスクが高くなり、監査が複雑になる。

DigiCert Trust Lifecycle Manager を HashiCorp Vault および Terraform に統合すると、組織は PKI 管理を最新の DevOps 手法と整合させることができます。証明書は、自動化されたインフラワークフローの一環としてシームレスな発行、回転、失効が可能になります。

デジサートと HashiCorp の統合による主なメリット

1. 証明書ライフサイクル管理の自動化

  • 手動プロセスの排除: HashiCorp Vault の Secrets Engine を通じて、証明書の発行、更新、失効が自動化されます。
  • 信頼性の向上: 証明書が常に最新でコンプライアンスを満たすようになるため、ダウンタイムとセキュリティリスクが緩和されます。

2. Terraform による IaC (Infrastructure as Code)

  • 証明書のシームレスな導入: Kubernetes クラスター、クラウド環境、仮想マシンのすべてを通じ、PKI 構成をコードとして定義し、導入できます。
  • スケーラブルな DevOps ワークフロー: 複数の環境間で一貫して証明書をプロビジョニングし、人的エラーを減らして効率を向上させます。

3. PKI とシークレットの一元管理

  • 可視化の統合: 単一のインターフェースからパブリック証明書とプライベート証明書を管理できるため、証明書の分散を緩和できます。
  • 規制コンプライアンスの達成: GDPR、HIPAA、PCI DSS などのポリシーと監査基準への準拠を保証します。

4. HashiCorp Vault によるセキュリティの強化

  • セキュアなストレージ: Vault の高度な暗号化とアクセス制御を利用して、秘密鍵と認証情報を保護します。
  • ポリシー適用の自動化: 証明書の取り扱いに対するロールベースのアクセス制御(RBAC)とセキュリティポリシーを適用します。

実際のユースケース

Kubernetes 証明書管理

Terraform を使用して Kubernetes ポッドに対する TLS 証明書のプロビジョニングを自動化し、セキュアなマイクロサービス通信を保証します。サービスメッシュ上に構築されるマイクロサービスは、デフォルトの自己署名証明書を使用して実行される場合が多く、信頼性が低下してシステムが攻撃にさらされるリスクも高まります。

クラウドワークロード向けのシークレット管理

HashiCorp Vault の内部で API キーや PKI 証明書などのシークレットをクラウド間で安全に管理し、シークレットと証明書の管理を統合します。

ハイブリッドクラウドセキュリティ

オンプレミスとマルチクラウドの環境全体で一貫した暗号化対策を実装し、セキュリティ体制を維持します。

しくみ

デジサート の Vault PKI プラグインは、DigiCert Trust Lifecycle Manager を介してエンタープライズ認証局と統合することで、Vault の機能を拡張し、Vault のネイティブ PKI エンジンをバイパスします。これによって以下の機能が実現します。

  • Vault の組み込みワークフローを使用した証明書の自動発行と更新。

  • 組織のセキュリティポリシーおよび監査要件への準拠。

  • Trust Lifecycle Manager 内部で管理されるパブリックおよびプライベート認証局への接続。

最新の PKI の課題への対応

デジタルトランスフォーメーションが加速つつある今、企業が必要としているのはスケーラブルで安全な PKI 戦略です。手作業に依存するこれまでの証明書管理アプローチには、次のようなリスクがありました。

  • 証明書の有効期限切れによるサービス停止。

  • 脆弱または不適切な管理に起因する暗号鍵のセキュリティ脆弱性、侵害。

  • 不適切な追跡や実施によって生じるコンプライアンス違反。

DigiCert TLM を HashiCorp Vault および Terraform と組み合わせると、組織はこうした制限を乗り越え、PKI とシークレット管理に対するプロアクティブなアプローチの自動化を実現できます。

DigiCert Trust Lifecycle Manager と HashiCorp Vault および Terraform の統合は、PKI の刷新に向けた最新のアプローチです。証明書管理を自動化し、セキュリティを強化して DevOps のベストプラクティスに準拠することによって、企業はセキュリティ上の今のニーズと、耐量子コンピュータ暗号(PQC)を含めた今後の暗号化への移行とのどちらもサポートできる、回復力の高い暗号インフラを構築できます。

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