選挙 05-30-2024

投票用紙の投函から郵便投票へ:最も安全な投票方法

Dr. Avesta Hojjati
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COVID-19 のパンデミックが明らかにしたのは、対面で行う必要があると思われていた事柄のほとんどがオンライン上でも可能で、オンラインのほうが適していることさえあるということです。それでも多くの人がコンピュータで行うことを躊躇する重要なタスクがあります。それが投票です。

その理由は容易に理解できます。電子投票に採用されているテクノロジーは比較的新しく、投票者の信頼を得るには至っていません。攻撃者が選挙をハッキングする方法を見つけてしまったら、その影響は壊滅的かつ広範囲に及ぶことになります。

米国が新たな大統領選挙を迎える中、現在採用されているさまざまな投票方式について、どの方式が最も安全性が高いか(低いか)調べてみましょう。

信頼できる投票方式の 3 つの要件

どの民主的なプロセスにおいても、理想的な投票方式は 3 つの主要な目標に達する必要があります。

  • 不正行為の防止:すべての投票の正当性を確保する
  • プライバシー:投票者の選択をのぞき見から保護する
  • 費用対効果:すべての人にとって手頃な選挙を実現する

その課題についてこれから説明します。セキュリティを強化すると、ユーザビリティは低下する傾向にあります。オンラインアカウントに多要素認証(MFA)を導入する場合を考えてみてください。これにより、追加のセキュリティ層が提供されますが、自分のアカウントにアクセスするのにいくつかのハードルを乗り越えないといけなくなります。 

選挙に関しても同様のことが当てはまり、セキュリティの追加はステップの追加(および金銭的な投資の増大)を意味します。これが、投票方式がなかなか進化を遂げない主な理由の 1 つです。

50 州で 1 万以上の投票管轄が存在

米国には、連邦政府によって義務付けられた統一的な投票方式はありません。そのかわり、50 州(およびワシントン DC、プエルトリコ、米国の海外領土)はそれぞれ独自に選挙の運営方法を決定しています。

その結果、さまざまな投票システムがパッチワーク的に国中に存在するようになっており、それらのシステムを、1 万以上の投票管轄を統括する複数の管理人が運営しています。

このような標準化の欠如には、「試行錯誤の余地がある」という良い側面がありますが、投票に関する万能な解決策がないことも意味します。米国で最も一般的な投票方式のメリットとデメリットを次に挙げます。

投票用紙方式:実証済みで(ほとんどの場合)信頼性の高い従来の方式

一部の選挙セキュリティ専門家は、投票用紙方式が投票の絶対的な基準であると未だにみなしています。投票用紙をハッキングするのは困難だからです。

しかし、この方式にはデメリットもあります。投票用紙は集計がより困難で、すべての人が支障なく利用できるわけではありません(障がい者に特に当てはまる)。たとえば、視覚障がい者は、他の人の助けを得ずに投票用紙を使用できないため、投票のセキュリティとプライバシーが損なわれる可能性があります。

投票者自らが投票用紙を投函することにより、唯一で本当の「ハッキング不可」選挙方式を実現できますが、その場合でも、投票者データや選挙インフラが適切に保護されないと、投票用紙方式の脆弱性を排除できません。

投票機:利便性が高いが、信頼性に疑問が残る方式

米国では、投票機が一般的に導入されており、よく投票用紙監査システムとセットで設置されています。しかし、これらが欠陥の影響を受けないとは言い切れません。ホワイトハットハッカーによる調査は、投票機の操作が可能であることを示しているのに、選挙結果の確認にペーパートレールによる裏付けを義務付けていない州も存在します

ミシガン大学の調査は、目を引くものでした。この調査において、研究者は投票マーキング装置で投票を改ざんしたにもかかわらず、ほとんどの投票者は気付きもしませんでした。投票用紙の内容を見直した投票者は全体の半数にも届かず、何か問題が起きていることを担当者に指摘した投票者は 7% にとどまりました。

この調査が示したのは、僅差の選挙であるならば、わずかな投票操作を行うだけで結果を簡単に左右させることができるという事実です。

郵送投票:標準になりつつある、従来とは異なるオプション

2016 年の大統領選挙において、郵送で投票を行った投票者は全体の 4 分の 1 未満でした。2020 年の選挙では、この割合は 43% に上がりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染の懸念がもたらしたもので、ほとんどの州は、ソーシャルディスタンスの要件を満たすように郵送投票と不在者投票のプロセスを変更しました。

2020 年のニューヨークの民主党予備選挙における 84,000 票の不在者投票の取り扱いミスなど、問題はあったものの、専門家は、郵送による投票が普及している州では、投票者による不正行為の発生件数が低いことを発見しています。郵送による投票のセキュリティを確保するには、選挙管理人は通常、各投票用紙の署名をその投票者の登録済み記録の署名と照らし合わせる必要があります。 

しかし、確認と認証からなるこのタスクは州ごとに異なり、署名を手動で比較することの信頼性を疑問視する声もあります。また、この確認プロセスにおいて選挙管理人は投票者の登録データにアクセスする必要があります。これにより、データ暗号化担当者の 2 要素認証の必要性が高まっています。投票機方式と投票用紙方式の場合と同様、郵送による投票方式のセキュリティ確保は、適切な確認と認証の方法を実装することによってのみ可能です。

展望:セキュアでアクセス可能な投票の将来を形作る

米国におけるセキュアな投票の将来の姿は、電子方式と従来の方式の強みを引き出したハイブリッドのアプローチになると考えられます。電子的な機能は急速に進化しており、人工知能(AI)などのテクノロジーの到来によって、選挙環境に新たな脅威と斬新な解決策がもたらされています。

投票と集計について、テクノロジーには透明性が高い、改ざん不可能な方法を実現する力があります。AI により、投票者の認証の改善、不正行為の検出率の向上、ネットワークにおける潜在的なセキュリティ侵害に対する継続的な監視を図ることができます。バイオメトリック認証の進歩により、ユーザビリティを損なわずにプライバシーの向上と不正行為の防止を実現できる可能性があります。

テクノロジーが進化するにつれ、選挙のセキュリティも一緒に進化を遂げる必要があります。これにより、選挙の当選者が公平なプロセスを経て選出されるようにできます。しかし、最も重要な進歩は、電子投票システムに対する大衆の信頼を高めることでもたらされます。これを実現するために、透明性のあるセキュリティ対策を適用し、投票方式の種類や、それぞれの方式で起きる可能性のある不正行為について、継続的な教育を実施していく必要があります。

脆弱性について取り上げましたが、米国で投票者の不正行為が発生した事例はごく稀です。投票の将来がどうであれ、1 つのことは確かです。それは、投票を放棄するなら、あなたの声はまったく聞かれない、ということです。

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