PKI に詳しい方であれば、CA/Browser Forumが特に近年、Web PKI のルールを策定する Server Certificate Working Group を通じて活発に活動していることにお気づきかもしれません。これらのルールは、主に「WebブラウザがWebサーバーと通信する」という主要なユースケースを前提に設計されています。
しかし、多くのTLS証明書は、Webサイトだけでなく、特に金融業界における重要なアプリケーションなど、まったく異なる要件の下で運用されるケースもあります。2026年3月15日に施行される新しい CA/B Forum の TLS ルールにより、この「ブラウザPKI」と「金融用途」の間のギャップはさらに広がることが予想されます。
この課題に対応するため、アメリカ合衆国 ASC(認定標準委員会)X9 は、金融機関のニーズに特化して設計されたX9 Financial PKIを導入しました。X9 は DigiCert をグローバルな運用パートナーとして選定しています。
X9 PKI は、主に銀行などの金融機関が、中間認証局(CA)証明書を申請できる仕組みです。これにより、機関は X9 の業界固有の基準に準拠しつつ、パブリックな PKI アプリケーション向けに自らリーフ証明書(エンドエンティティ証明書ともいう)を発行できるようになります。
金融機関は厳格な規制のもとで運用されています。X9 PKI は、このような独自の要件に対応するガバナンスモデルと技術的フレームワークを提供し、Web PKI に代わる、より適切な選択肢となります。
X9 PKI は、TLS やS/MIME、クライアント証明書など、あらゆる PKI アプリケーションをサポートします。企業内の PKI とクロス認証することも可能で、既存のグローバルインフラにシームレスに統合できます。
主な金融向けユースケース:
より詳しいユースケースは、X9 の公式サイトにてご確認いただけます。
Web PKI がブラウザベンダーのニーズに合わせて進化するのに対し、X9 PKI は金融業界の優先事項に基づいて運営されています。これには以下のような重要な違いがあります:
つまり、X9 PKI は金融機関に最適化された、安定性と将来性を兼ね備えた基盤を提供します。単なるコンプライアンスだけでなく、業務継続性とイノベーションの支えとなるのです。
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