暗号技術

暗号技術（Cryptography）とは、情報を解読不可能な形式に変換し、復号鍵を持つ人だけがアクセスできるようにして情報を保護する技術です。この言葉は、ギリシャ語の「kryptos（隠された）」と「graphien（書く）」に由来し、つまり「隠された文字（hidden writing）」という意味です。

暗号技術の歴史は数千年に及びますが、世界のデジタル化が進むにつれ、データのプライバシー、完全性、そして安全な交換を確保するこの技術の重要性はこれまで以上に高まっています。

主要な暗号技術用語

暗号技術については FAQ でも詳しく説明していますが、以下に主要な用語をいくつか紹介します。

• 暗号アルゴリズム（Cryptographic algorithms）：データの暗号化と復号化を行い、安全な通信を実現するためのさまざまなアルゴリズム。
• 公開鍵暗号（Public key cryptography）：非対称暗号（asymmetric encryption）の一種で、公開鍵（public key）と秘密鍵（private key）を使用して安全なデータ交換を行います。
• 公開鍵暗号アルゴリズム（Public key encryption algorithms）：情報保護に用いられる代表的なアルゴリズムで、RSA や楕円曲線暗号（Elliptic Curve Cryptography）などがあります。
• RSA 暗号（RSA cryptography）：素数の数学的性質を利用してデータを保護する、広く使用されている暗号方式。
• 楕円曲線暗号（Elliptic Curve Cryptography, ECC）：短い鍵長で高い安全性を実現し、モバイルデバイスに適した効率的な暗号方式。
• 耐量子コンピュータ暗号（Post-Quantum Cryptography, PQC）：量子コンピュータの脅威に耐え得るよう設計された、今後極めて重要となる新たな分野の暗号技術。

暗号技術が重要な理由

暗号技術は、データの安全性とユーザのプライバシーを確保する一連の仕組みを提供し、デジタルトラストを支えています。以下はその主な役割です。

• 機密性（Confidentiality）：暗号化によってデータを変換し、正しい復号鍵を持つ者のみが読めるようにすることで、許可された人だけが情報にアクセスできるようにします。
• 完全性（Integrity）：電子署名（digital signature）やハッシュ関数（hash function）などの技術により、データが送信中に改ざんされていないことを確認します。
• 認証（Authentication）：公開鍵基盤（Public Key Infrastructure, PKI）や証明書を用いて、通信相手の ID を検証し、正しい相手とやり取りしていることを保証します。
• 否認防止（Non-repudiation）：デジタル署名により、メッセージの送信元と内容の真正性が証明され、送信者が送信を否認できないようにします。

さらに詳しく

暗号技術について詳しく知りたい方は FAQ をご覧ください。また、量子コンピュータ時代への準備のための計画を立てるには、PQC Playgroundをご活用ください。