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Device trust 02-14-2025

組み込みセキュリティの万能ツール

Kevin Hilscher
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安全なコネクテッドデバイスの構築とは、単に暗号化を実施することだけではありません。あらゆる構成要素と通信チャネルにわたって、セキュリティを最初から設計する必要があります。開発者から見れば、多機能で奥行きが広く、精密なツールキットを使って作業することを意味します。つまり、組み込みセキュリティのための万能ツールのようなものです。DigiCert® TrustCore SDK は、まさにそれに当たるツールキットです。強力な暗号化機能、セキュアな通信プロトコル、ハードウェア統合を一体化して、最新組み込みシステムの要件を満たします。

今回の記事では、TrustCore SDK のアーキテクチャ、そのコンポーネント、セキュリティ統合が合理化される仕組みについて掘り下げます。IoT、IIoT、組み込みデバイスに取り組む開発者の皆さんにとって、TrustCore SDK が頼れる選択肢であることをお確かめください。

DigiCert TrustCore SDK アーキテクチャの 詳細な紹介

DigiCert TrustCore SDK のアーキテクチャは、組み込みセキュリティにモジュール型で柔軟なアプローチを実現するように設計されています。TrustCore SDK は階層化されたシステムとして動作し、ハードウェアのレベルからアプリケーションの相互通信に至るまで、セキュリティを最適化します。ここでは、その主なコンポーネントを説明します。

1. コアの暗号化エンジン

DigiCert TrustCore SDK の中心にあるのが暗号化エンジンです。組み込み環境向けに最適化され、対称および非対称アルゴリズムの両方を幅広くサポートしています。暗号化エンジンは、高いセキュリティと最小限の計算負荷のバランスを保ちながらパフォーマンスを維持します。

  • サポートされているアルゴリズム: AES(128/256)、RSA、ECC、SHA-2(256、384、512)、HMAC、その他。各アルゴリズムは、リソース制約のあるデバイスでも低レイテンシ需要を満たせるように設計されています。

2. セキュアエレメント統合レイヤー

TPM、HSM、セキュアエンクレーブなどの安全なハードウェア要素との相互通信を管理するレイヤーです。クリティカルな暗号化プロセスを専用ハードウェアにオフロードすることによって、DigiCert TrustCore SDK はデバイスのセキュリティを大幅に強化し、ソフトウェアレベルの脆弱性を予防します。

  • TPM 2.0 統合: 鍵管理、電子署名、リモート認証に TPM を使用することで、セキュリティの高いアプリケーションに不可欠な、ハードウェア格納型のトラストの基点を作成します。また、ARM TrustZone もサポートしており、サポート対象のハードウェア環境全体にセキュアな処理能力を拡張してデバイスのセキュリティを強化します。

3. セキュリティプロトコルと通信

DigiCert TrustCore SDK では、SSH、EST、SCEP など、デバイス間で交換されるデータの保護に欠かせないセキュアな通信プロトコルが標準でサポートされています。このレイヤーによって、セキュアなネゴシエーション、鍵交換、暗号化チャネルが保証され、デバイスの相互通信で全体的にセキュリティが強化されます。

  • TLS/DTLS: TCP 接続では TLS 1.2 および 1.3 を、UDP では DTLS をそれぞれサポートしているため、産業環境で一般的な低レイテンシ、高スループットの環境でも強固な暗号化を実現します。
  • セキュア MQTT: MQTT のような軽量プロトコルのセキュリティを強化し、IoT エコシステムにおけるデータ転送を盗聴や改ざんから守ります。

4. 鍵管理とハードウェアベースのセキュリティ

DigiCert TrustCore SDK は暗号鍵の管理に優れており、TPM などのセキュアエレメントと直接統合される安全な生成、保存、アクセスコントロールを可能にします。

  • ハードウェア格納型の鍵保存: ハードウェアの境界内で暗号鍵を確実に保護し、不正なエンティティによる抜き取りや悪用を防ぎます。

5. API 抽象化レイヤー

DigiCert TrustCore SDK の API 抽象化レイヤーは、複雑なセキュリティ操作の使用を簡素化し、基礎となるハードウェアの複雑さを抽象化する開発者向けのインターフェースを提供します。そのため、暗号化について深い知識がなくても、間違いなくセキュリティを正しく実装できます。

  • プラットフォームに依存しないコード: API レイヤーによって、異なるデバイスアーキテクチャ間の移植性が実現するため、各種の組み込みプラットフォームにセキュリティ機能を容易に適応させることができます。

ハードウェアからアプリケーションレイヤーまで

DigiCert TrustCore SDK のアーキテクチャは、デバイスのあらゆるレイヤーにわたってシームレスにセキュリティを統合する、構造化されたフローに従っています。

  • ステップ 1: ハードウェアの初期化: TrustCore SDK は、TPM などのデバイスのセキュアなハードウェアコンポーネントを初期化し、ハードウェア格納型のトラストの基点を確立します。この環境は、これ以降のセキュリティ操作すべてに対するバックボーンとなります。
  • ステップ 2: 鍵の生成と保存: 鍵はセキュアエレメント内で生成され、暗号化操作はすべてハードウェアセキュリティに結び付けられます。このアプローチがあるため、ソフトウェアのみによる鍵管理に伴うリスクが緩和され、抽出攻撃に対する強固な防御が完成します。
  • ステップ 3: セキュアなコミュニケーションの確立: TrustCore SDK は TLS/DTLS 経由でセキュアな通信チャネルを確立し、暗号化パラメータのネゴシエーションと相互認証を処理します。この仕組みによって、転送中のデータは機密性と改ざん防止を保証されます。
  • ステップ 4: 暗号化処理とデータ保護: 暗号化の機能はコアエンジンによって実行されます。コアエンジンは、組み込み環境の制約に応じて最適化されています。暗号化、復号、署名、ハッシュ化処理などが含まれ、セキュリティを損なわずに高速処理を保証します。
  • ステップ 5: 監視と認証: TrustCore SDK は継続的な監視と認証をサポートしており、デバイスはセキュリティ態勢を一元的な管理システムに報告できます。これは、デバイスの完全性を継続的に検証しなければならないゼロトラスト環境では不可欠です。

セキュリティ統合の強化

DigiCert TrustCore SDK は暗号化機能を提供するだけではありません。以下のような機能を通じて、セキュリティを正しく効率的に実装するうえで必要なリソースを開発者に提供します。

  • 詳細なドキュメント: 総合的なガイドと API リファレンスが、基本的なセットアップから高度な構成に至る統合の手順をステップごとに解説します。
  • コードサンプルと実世界のデモ: 実用的なサンプルを参考にして、開発者はセキュアな通信、ハードウェアベースの鍵保存、証明書管理といったユースケースで TrustCore SDK の機能をどう活用できるかを把握できます。
  • 診断ツール: ロギングとデバッグが統合されたツールによってセキュリティ操作の可視性が向上し、開発者は構成の最適化と問題のトラブルシューティングをリアルタイムで実行できます。

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