モノのインターネット (IoT) 06-10-2022

接続された「モノのクラウド」-(CoT)

Srinivas Kumar
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日常生活に浸透しつつある自律的なデジタル機器、いわゆる「モノのインターネット(IoT)」は、クラウドチェーンで他のモノとつながり、さらに大きな目的、広い範囲のサービスを実現しようとしています。むしろ、モノが他のモノと通信する「モノの社会化」とも言えるでしょう。距離にかかわらず、です。

接続された「モノのクラウド」がゲームチェンジャーに

ローカルに接続されたモノの威力は、都市部と農村部どちらの地域経済にとってもゲームチェンジャーです。エネルギーグリッドから水供給システム、道路、鉄道、農場、学校、工場、病院、医療従事者、救急隊員まで、モノの接続性は経済の繁栄を促す要因になりつつあります。この新たな経済は、金融サービス経済からクラウド経済へ、ウォール街からメインストリート、つまりローカル経済へ、身近なスマートシティとビルから全州規模のスマートファクトリースマートトランスポーテーションへと移行しつつあります。私たちは今、次の新しい技術革命の真っただ中にいるのです。

どの先行指標を見ても、地政学的な出来事や労働不安、世界各地にわたる構造的な力のために、貿易のグローバル化は減速しつつあります。これは、データのグローバル化にとってどんな意味を持つのでしょうか?データはクラウド経済を動かす燃料です。データには関税がかかりません(少なくとも今のところ)。データは、地方自治体、州、地域、国、さらには国際的なレベルで意思決定と行動と結果を左右します。成長期でも不況期でも、平時でも戦時でもそれは変わりません。テクノロジーが、すでにこの変革を加速しています。かつての世代が、半導体とメインフレーム、パソコン、ダイヤル式電話、ダイヤルアップ回線を経て、携帯デバイスとデータセンター、高速インターネットという今に至ったように、次の世代は、さらに次の波を目撃することになるでしょう。デジタルクラウドの幕開けです。

ダイヤル式電話からリアルタイム配信へ

1990 年代には、無線が全世界の人々をつなぐ最も高速で最も効率的な手段となり、ファーストマイル(最寄り)からラストマイル(最終到達点)まで銅線を敷設する大規模なインフラプロジェクトが不要になりました。それと同じように、エッジクラウドコンピューティングとストレージという概念は、世界中の一般ユーザーにデジタルトランスフォーメーションをもたらす鍵となる要素です。これが、国際的なファイアウォールのない世界で、グローバルな商取引、情報共有、サイバーセキュリティの新しい波に勢いをつけることになるはずです。ダイヤル式電話が、ポケットに入れて持ち歩ける今日のスマートフォンへと姿を変え、世界中とつながっているように、個人向けでないデバイスも、家庭へ、街中へ、職場へと、私たちの周りでユビキタスな存在になりつつあります。情報交換が「知る必要性」から「共有する必要性」へと移り変わったように、データの共有は、現在進行形かつ不可逆的に、旅行やイベント、社会活動、ニュースサイクル、公共事業、雇用市場といった日常生活のポリシーとプロセスを推進することになります。

クラウドと IoT の関係は、かつてのソフトウェア定義ネットワークと仮想データセンターの関係と同じようなものです。むしろ、単なる接続では済まされません。膨大な数のデバイスから届く情報量、多様性、速度を考えると、中央集権のコンピューティングエンジンにデータを転送するのは困難になります。したがって、データを計算のために中央に送るのではなく、データが存在する場所、すなわちエッジでのデータ処理が必要となります。ここでいうデータとは、遠隔測定、計測、顔認識、群衆検知、街頭監視、交通渋滞制御、ナンバープレート認識、金融サービス、土壌モニタリング、大気質モニタリングなど、さまざまな目的で利用される異種情報のセットです。そこに秘められる可能性は、想像を超えるものです。

次に来るもの

イノベーター、テクノクラート、強硬なサイバーセキュリティ論者にとって、これは 5G、エッジコンピューティング、ブロックチェーン、耐量子コンピューター暗号、アプリケーションとサービスのコンテナ化といった約束と実現を意味します。これらの実現はエンターテインメント用セットトップボックスからホームセキュリティ監視システム、スマート家電、水管理、エアコン、暖房システムまで、次世代のコンシューマデバイスに影響を与えるはずです。ビル管理から交通航空システムに至るまで、安全システムにも変革をもたらします。さらには、戦闘機器から兵士の保護まで、国防の最新化にもつながります。製造現場から屋外での操作、そして 10 年(以上)の寿命を持つデバイスのメンテナンスに至るまで、クラウドのクラウドによるサービス自動化によって、段階的にもかかわらず喫緊の変革が起こります。IoT には、一元的なクラウドではなく、接続されたクラウドの信頼チェーンが必要になるのです。

デジタルトランスフォーメーションは、エッジ保護、プロセス自動化、組み込み型のミッションクリティカルな運用でイノベーションを起こそうとしています。重要な公共インフラ、電力グリッド、産業用制御システムの大部分は、現在すでに古くなっており、サイバー保護もされていません。切迫したリスクは待ってくれません。分散コンピューティングの新たなエコシステムでは、デバイスの識別、デバイスの認証、権限別のアクセス制御、耐改ざん性を備えたコンテンツ配信に、さらに高度な信頼性が要求されることになります。

さらにこれは、信頼できるユビキタスデバイスと、意思決定ロジック、つまりプロセスまたはポリシーベースのアクションを動かす信頼できるデータという概念に根ざしていなければなりません。デバイスとデータが信頼できなければ、望ましくない、そして恐らくは悲惨な結果が待っています。したがって、半導体業界やデバイスベンダー、サービスプロバイダが草の根レベルで協力して信頼関係を確立し、接続されたクラウドの完全自動化エコシステムへと誘導する時が来ているのです。

デジサートは、デジタルトラストを実現するために、接続された「モノのクラウド」を保護することに全力を傾けています。1 台から数十億台まで、DigiCert® IoT Device Manager は、企業が証明書ベースのセキュリティで IoT デバイスを管理できる包括的で自動化されたワークフローを提供します。

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